期待はしていなかったが、全く面白くなかった。私は途中でゲームをやめコントローラを放り投げた。3年もの制作期間を経ても、このようなゲームを作ってしまうのであれば、InfinityWardは過去作のリメイクだけを行い、Sledgehammer GamesとTreyarchがそれぞれ新作を作っていた方が幾分マシだろう。
ゲームには直接関係ない魚群のAIや陳腐な幕引きで終わったGHOSTもかなり酷いものだったが、Infinite Warfareはそれよりも酷い。Black Ops3も個人的な点数は低いが、その下を行く出来映えだ。GHOSTは10点だとして、Infinite Warfareは5点だ(両者とも100点満点の上で)。
まずゲームを進めていくと、陳腐な時代設定とちぐはぐな未来予測が現れる。主人公が敵対勢力と戦う理由は「正義」と「悪」のような、消費し尽くされたものだ(ゲームを続けていると、もしかしたら裏の設定が出てきたのかも知れないが)この時点で、ゲームに没入するための動機付けに欠けている。我々はハエたたき(FPSの蔑称)をするにしても、そこに物語りのような意義を求めている。Infinite Warfareは序盤、陳腐な民間人の虐殺のような形で動機付けをしようとしているが、それはもうModern Warfare2で陳腐化した手法だ。その点、Advanced Warfareは主人公が絶望から復帰する様子、Black Ops3は裏切りを続ける仲間の謎、凍てつく森のような、心を揺さぶるものがあった。
また、攻略する順序をプレイヤーに委ねたのは、Call of Dutyの「映画のような体験」を損なわせた。Black Ops2のようなオープンワールド、マルチエンディングは映画のような体験をさらに高めるものであったが*1、Infinite Warfareの攻略対象を自分で決めていく方式にはウンザリする。私は映画のように進んでいく物語の主人公になりたいのであって、ストーリー進行はシステムに委ねてしまいたい。もっと言えば、考えるのが面倒くさいのである。攻略順序でストーリーの展開は変わるのだろうか? 多様な選択肢はたいていの場合利点となり得るが、今回ばかりはかなりの悪手である。
何より酷いと感じたのは、宇宙空間での航空船だ。「宇宙の大海に足を広め、空よりも広い場所で行う戦いはさぞ良いのだろう」と思っていたが、ここにあったのは変わらずに酷い Call of Duty のなんちゃって航空戦だ。Black Ops2から何も進化していないそれは、敵機をロックオンしてミサイルを発射。敵ミサイル警告が出たらフレアを押すだけの極めて単調なものだ。しかも、敵機をロックオンしたら機体が自動で敵機を追尾しドックファイトができる超親切仕様である。しかも、この航空戦は歴代シリーズの1回限りの苦痛では無く、何度も何度も強いられる。繰り返される「目標を真ん中に入れてスイッチオン」こんなものの何が面白いのか。プレイしていて面白いと思う人が居るのか。制作者はプレイしていて面白いと思ったのか。本当に疑問だ。
何より怒りを感じているのは、Call of Duty4:Modern Warfare のリマスター版をこのような作品の特典にしたことだ。思い出深いCall of Duty 4が現代のグラフィックでよみがえるソレをプレイするためには、必要の無いゲームを購入しなければいけない。
ディスク版のInfinite Warfareを購入した(予定)の人は皆、口をそろえてこう言っていた。「Call of Duty :Modern Warfare Remasterのプレイに、なぜInfinite Warfareのディスクが必要なのか。中古に売れないじゃ無いか」ってね。
*1:マルチエンディングには賛否があったが