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「元ゲイビデオ男優を探す」企画の悪辣さと、大島薫氏反論を見て改めて反論する

 大島薫と呼ばれる方が「昔ゲイビデオに出演していた男優を探す」という企画を行い、ネットで大きな議論を呼んでいる。批判に対して大島薫氏はTHE HUFFINGTON POSTにて反論の記事を展開した。

 本人の反論は以下のようだった。

――なぜ「野獣先輩」を捜索しようと思ったのでしょうか。どういう意図で、今回の番組を企画されたのでしょうか?

かなり前からゲイビデオに出演しているある男性の画像や動画が「野獣先輩」の名称で広くネットに無断転載されていることは存じておりました。普通に考えれば肖像権の侵害ですし、倫理的にも許されないことではありますが、その流行の理由に「野獣先輩」という存在は、インターネット上で架空の人物であるかのようにされているという現状が一旦を担っていることを知り、今回の企画を発案しました。

なぜ野獣先輩が架空の存在ではないことを知らしめることに、野獣先輩の流布を止める効果があるのかについては、過去ニコニコ動画で野獣先輩と同じくゲイポルノ男優として広く拡散していたビリー・ヘリントンという人物の例があります。同じくニコニコ動画で無断転載されていたビリー・ヘリントン氏が、イベントのゲストに登場することになり急速にその動画や画像が出回らなくなりました。「動画の中だけの人」が「現実に存在する人」になることで人々の倫理観が元に戻ったのではと考えております。

もちろんビリー・ヘリントン氏のように番組に映ることや、出演することの許可を出すのは紛れもなく野獣先輩本人です。許可なく無理やり映像に映すことなどできるわけがないのに、『晒して笑い者にする気か』といった意見には正直閉口します。それと、野獣先輩が出演を承諾しなかったとしても、自分たちが拡散している画像の人物が本当に存在するんだということを世間にはっきりわからせることに意味があると思います。 

 要約すると「野獣先輩(ゲイビデオに出演した男優のネット上のあだ名) は架空の人物では無く実在する人であることを知らしめ、ネット上でフリー素材として扱われている現状を止めたい」ということらしい。

――ネット上では番組内容について、すでに一般人になっていると思われる人物を捜索することは、「プライバシーの侵害だ」「元はAV男優でも、今は家族もいるかもしれない」と抗議する声があがっています。企画時にこういった批判を受けることは想定していましたか。

想定していました。しかし、それは野獣先輩の存在をいままでネタのように扱ってきた淫夢厨(※「野獣先輩」と呼ばれる人物が出演するAVをネタにする人々)と呼ばれている人々に対してです。当然、そちらからまず抗議が来ました。「野獣先輩の人権を考えてるんですか?!」と息巻くその人のタイムラインを見ると野獣先輩の画像を無断転載していたり、淫夢語録(※「野獣先輩」と呼ばれる人物が出演するAVで使われたセリフ)というようなお決まりのフレーズを呟いていました。

つまり、彼らは本気で野獣先輩の人権など心配していないのです。要するにいままで散々オモチャにしてきた野獣先輩が見つかることによってビリー・ヘリントン氏のようにネタにし辛い空気が生まれるのではないかという危惧からあえて人権という言葉を用いているに過ぎません。本当に心配しているのであれば「野獣先輩の人権を守る会」でも組織して、番組に抗議したほうが良いはずです。しかし、彼らはそんなことをしません。なぜなら本当にそんな会が設立されてしまったら一番困るのはいままで野獣先輩をネタにしてきた彼らなのですから。

  つまるところ、今回の放送に反対しているのは、一律して「淫夢厨」という認定をしているらしい。

――一橋大法科大学院生の男性が、同級生に同性愛者であることを友人に公表された後、心身に不調を来して転落死した事件がありました。今回の番組企画についても、本人が現在「隠しておきたい」「知られたくない」と思われることを、世間に流布すること(アウティング)になるのではという懸念もあります。これについてはどうお考えですか。

今回想定外の点でいえば、そういったゲイの方々からの非難です。その「野獣先輩の人権を考えてるんですか?」という淫夢厨の半ばギャグのような煽り文句を鵜呑みにして本当のゲイの方々やセクシャルマイノリティー評論家もどきのライターさんたちなどから批判が来ました。

そもそも今回の件が起こるまで彼らは野獣先輩について知っていたのでしょうか? ゲイやセクシャルマイノリティーについて詳しいと自称しているのであれば野獣先輩という人物がネットで面白おかしく流行している現状を快く思っていなかったはずです。それをいままで放置してきたのに、いまさらアウティングだなんだのと騒ぎ立てるなんて偽善者過ぎはしませんか?

  また、今まで淫夢ネタに対して反論をしてこなかった人は「すべからく偽善者」と言いたいらしい。

「馬鹿じゃ無いのか」と思ったし、この人は何も分かっていない

 品格の無い言葉で申し訳ないが「こいつ、本当に馬鹿じゃ無いのか?」と思った。私は淫夢ネタが嫌いだ。何故なら気持ち悪いからだ。これはLGBTとか関係なく、生理的な嫌悪感を感じる。私は潔癖なところが有り、男性・女性問わず、性的行為をしている様子を見ると嫌悪感を覚える(だから二次元コンテンツが好きだし、男性向けのアダルトビデオでさえ気持ちが悪いと感じることがある)

 つまり、私は「淫夢厨」では無い。普段は何も言わないけれど、Twitterで男の裸が流れてくると不快な気持ちになる。

 また、淫夢語録(ビデオの中で使われていた言葉が)は、ネットスラングの域を超えており、出典がゲイビデオであることを知らずに使っている人はたくさんいる。これは、JK・JCといった本来援助交際で使われる言葉が大衆化し、テレビのバラエティ番組でも使われているものに似ている。「あのさぁ……」とか「あっ(察し)」とか、意味を知らずに雰囲気で言葉を使っている人はたくさんいる。そのバッグエンドを知らずに語録を使っているからといって「淫夢厨認定」は浅はかだ

同じくニコニコ動画で無断転載されていたビリー・ヘリントン氏が、イベントのゲストに登場することになり急速にその動画や画像が出回らなくなりました。「動画の中だけの人」が「現実に存在する人」になることで人々の倫理観が元に戻ったのではと考えております。

  この考えは間違っている。ヘリントン氏のネタは一発芸としての色が強く、面白みが無くなったからだと考えられる。ましてや、ベリー・ヘリントン氏はゲイ男優として、自発的に(ニコニコからオファーがあったそれを快諾した)表舞台に出てきた。つまり、今回、大島氏が企画していること・実行しようとしていることとは、本質が全く違う。

 野獣先輩に関して言えば、あのような自然的に収束する予想が全くつかない。捜索した大島氏が淫夢厨から「探し出した神」の扱いを受け「本人降臨」とかいって身辺をかぎまわられる様子が容易に想像がつく。

 本人が存命だとして、インターネットを使っていれば自分がコンテンツ化されている事ぐらい知っているだろう。その状態で所在地を特定されてしまったとき、本人はどういうリアクションをすると考えているのだろうか。私が同じ状況ならPTSDを起こすか、過去にゲイビデオに出演したことを深く反省し自殺してしまう。「また、探偵を使って見つけることが出来る」という事実を知らしめれば、同様に探偵を雇って(大島氏が言う技術協力を得て)素性を調べ「本人突撃」とかを実行する人が出てくるという想像力は無いのだろうか。

 「自分自身が良かれと思っていたことが、結果として相手に不快感を与える」ということを一切考慮していない、大島氏本人が偽善者なのだ。

淫夢ネタに大きな声を上げて反論しないのは、自分がコンテンツ化されるのを防ぐため

 大島氏はこのような企画を立てたということは、当然のことながら知っていることだと思うが、今の淫夢ネタはゲイビデオとは直接的に関係無いものが取り込まれている。

 たとえば、東方プロジェクト合同動画企画「【東方合同動画企画】魔理沙とアリスのクッキーKiss」や人気FPSゲーム「Call of Duty: Black Ops 2」でめちゃくちゃな暴言を吐いた通称「ピネガキ」や、Youtuberである「Syamu_game」(さん)や「たれぞう」(さん)のようなものがある(これ以上は私も詳しく無い)

 その状況で「野獣先輩を素材として使うのをやめろ」と声を上げるのは、淫夢厨から新たなネタ元として扱われ、自分が意図しない方向に詮索されたり、ストーカー被害を受ける可能性がある(私の友達の友達はツイキャスをしていて、視聴者とのオフ会の後に尾行され自宅の住所を特定されたことがある)

 不特定多数からの攻撃を受けることが用意に想像出来る場合は、無関心を貫くことだ。何故、大島氏は一貫して無関心を貫くことが出来なかったのか、それが不思議である。また、このような騒ぎを起こして、普段は淫夢コンテンツに触れていない人にまで、野獣先輩を知らしめてしまったことに、罪の意識は無いのだろうか。

 結局は自分本位な企画に、大義名分を付けただけでは無いのだろうか。私にはとうてい理解できない判断である。

 

2016/08/14 20:08 誤字脱字を訂正